売り絵

 2013年から始めて百貨店で年に数回、グループ展で絵を販売する機会を設けてもらってから、まだ今年で3、4年目になりますが、百貨店は年配のお客様がメインで中年・若者世代は少ないということを実感します(そもそも若者は絵を買いませんが)。
 ネットを使う世代の人は買い物で百貨店に行くということが無いような気がします。なので百貨店の美術画廊では年配の方々向きのクラシック作品でないと、販売が難しいと、つくづく思いました。
 
 村上隆さんも、日本では現代美術のマーケットが無いと言われていますが、まさに痛感しています。だって上野にある美術館・博物館は平日でも年配の方々を中心に来場者が半端ではないのに、森美術館では週末でもスカスカですし。

 売れないのはよく作品が良くないからと、売れっ子作家さんや画商さん、百貨店の販売員の方の口から聞いたことがありますが、彼らの作品の善し悪しとは、年配の方向けのクラシックな画風の作品が善しであって、悪しきは人気の得にくい現代美術とりわけ若い世代に受け入れやすい画風ということでしょう。
 売れないのは単に画風の問題です。現にカルチャースクールで2年ほど学んだだけの素人さんでも百貨店で個展レベルにまで行って、コンスタントに販売している人も普通に居たりします。逆に藝大出でも受賞歴が豊富であってアートな実力が認められている人でも売れない画風であれば、売れない作家です。
 賞といえば、日本で価値ある公募展の受賞は、概ね公募団体主催の賞でしょう。現代美術なら損保、シェル、岡本太郎、上野の森美術館などでしょうか。他にも色々ありますが、クラシックな公募団体展の受賞のほうが年配の方々にも認知されていますので、価値があるのでしょう。まあ受賞と売れることは関係性は低いですが。

 売り絵の話ですが、一般的に売り絵は作品としては、完成度が低いと僕個人は断言したいです。絵を本格的にコンスタントに販売するとなると、生産性を意識します。価格と描く時間を合わせます。それはつまり本当はもっと描き込めるけど、そこまでやると価格と時間が合わなくなる、ということになります。これは日本のような号単価いくらという価格設定が主流の国ならではの原因です。欧米では、作品のサイズでいくらという設定ではなく、作家が決める作品の価値であったり、実際にかけた時間から価格を割り出していたりと、柔軟です。生産性を意識して描いているという話は、ほとんどの人が知っているような超人気作家さんと、大御所作家さんから直接うかがったこともあります。聞かずとも、皆作家ならそんなことは当然のこととしてわかっていますが。

 それに対して、ぼくは毎回作品は進化して挑戦して時間配分など気にせず最高のものを納得するまで描き込んでいます。髪の毛の部分だけでも全て1本づつ描いています。肌も細胞レベルで描いています。日本の価格設定では適当に魅せれるところで筆を降ろすということに、売れっ子になったらせざるを得ないのは悲しいことです。デッサンを販売とかもその路線です。デッサンなど、どんなに超絶写実でも人物なら僕なら2日あれば描けます。皆が皆そういう作家であるとは言いませんが、納得行くまで描いた作品と、魅せれるところまでで描いても売れる作品と値段が同じならば、後者を選ぶのは仕方のないことなのでしょうね。それに売れっ子であっても絵描きは皆貧乏です。霞を食べて暮らせません。と言うのはわかるけど、生産性を意識して描いた作品が最高の作品とはぼくは思いません。まあぼくのように売れない作家であるからそんなことが言えるのでしょうね。いつか誰かはわかってくれるのかなと、諦め半分思っています。
 売り絵の作品の良し悪しは、気になる作家さんがいましたら、その方の実際に画廊や百貨店などで販売している作品と、その方が公募展に出品した作品を比べてください。後者は全力なはずです。
 

 ↓最新描いたもの。人物の大きさはハガキ1枚分です。小さい範囲に細かい描写が一番大変です。作品は大きければ大きいほど描写がしやすく細かく描き込めます。(髪の毛全部一本づつ描いてます。真っ白の髪の毛から4段階ほどわけて全体に何千回も髪の毛描いています。)こんな安物絵画でも妥協しません。でも売れませんw笑
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