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2019年04月

アートフェアから絵描きとして重要な要素を探る



こんにちは
現代美術の活動をしています”すー”です。

だいぶ更新が久々になってしまいました。

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今年の報告としては、
そういえば2月に名古屋でアートフェアがありましたが、
自分も参加してみたので記録しました。
今年で作家活動6年目で、
地方の国内アートフェアですが国内アートフェアは初でした。

超ロングな記事になってしまいましたが、
作家として重要と思えることも書いてみたので、
作家として駆け出しの方や、アートに関心のある一般の方も是非ともご閲覧頂けたら幸いです。



アートフェアとは                 

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アートフェアは以前もお話したことがありますが、通常よくある出品単位が作家のアートの展覧会ではなくて、出品単位がギャラリーの展覧会です。
ギャラリーが自分の抱えている取扱作家の作品を販売&お披露目して、ブランド力を高めるための場です。

そしてアートフェアの作家(職業作家)と、通常各地で様々に行われているアートイベントの作家との違いは、アートフェアはギャラリーが出品単位なので、参加している作家は多少なり各ギャラリーが推している or 売り出したい作家ということになります。




アートフェアに参加するには            

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では、そのアートフェアには、どのように参加するのか。

まずアートフェア参加は、所属ギャラリーが国内に数あるアートフェアのどれかに参加することから始まります。なので作家が参加したくてもギャラリーが出展しなければ作家は参加できません。

また、アートフェアと一口に言っても場所から規模から展示形式からランクが色々あります。

ギャラリーはブランディングのためであったり、他のギャラリーとつながりを広げる目的、新規のコレクターや作家など人脈を獲得する目的など様々な目的のために参加したりします。
また、特にフェアに参加するつもりもないのだけれどもギャラリーの横の繋がりがあるので、体裁上参加しているというギャラリーもあります。
海外のビッグなアートフェアだと出展した経歴があるだけでギャラリーのステータスになるので、フェアであまり売れないことが解っていても大金を出して参加したりすることもあるようです(全く売れないことも結構あるみたいです)
ちなみにビッグなアートフェアと言うと国内ではホテル展示式ではないブース展示式のアートフェア東京のみですね。
{それでも日本の現代アート市場は世界のアート市場から見るとトップ10以下であり、現代美術だけでなく美術産業全体を含めた総合でもランク外です。世界で3番目にお金持ちの国がアートに関しては他のアジアと比べても高くはないレベルです(国内の現代アートのマーケット規模は台湾と同レベルくらい)。
。。まあ僕が偉そうなことは全く言えないのですが。}

そうしてギャラリーが参加することで、はじめて作家もフェアに参加できます。


フェア参加にかかる予算             

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ギャラリーは自身の予算から参加出来るアートフェアを選びます。
そして資金力のあるギャラリーを除いて、予算の少ないギャラリーは取り扱い作家に参加の是非を問います。
これはアートフェアの出品料と作品輸送料を参加する作家達とギャラリーとで折半する為です。なので所属作家と言えど、お金の負担を強いられるギャラリーもあります。
様々なアートのイベントに大抵出品料がかかるようにアートフェアにも出品料がかかります。
ホテル型とブース型がありますが、ホテルだと部屋を借りている分、部屋代がかかり、ブースだと会場費がかかります。それ以外に運営費なども含まれていると思います。

出品作家と参加の是非や予算の話がついたら、フェアに参加申請をします。
ですが、ほとんどのアートフェアでは新規ギャラリーの参加は出来ません。
表面上は参加申請を受け付けていますが、ギャラリーは狭い横ならびの世界なので、実際アートフェアのギャラリーは毎年恒例の常連組が大半です。
新規ギャラリーの参加はフェアに参加経験のあるギャラリーからの紹介で主に成り立っています。

開業したてのギャラリーでも他のギャラリーと関係を持っているところは問題はありませんが、ギャラリー同士の繋がりの浅いギャラリーの参加は大変です。
参加ギャラリーが少ない小規模のアートフェアや、まだ開催年数の浅い地方のアートフェアなどから参加出来るチャンスを伺うしかありません。

ちなみに国内の地方アートフェアは出品料が最低20万程度ですが、アートフェア東京だと最低でも81万(税込み)かかります(2018年度開催)ちなみに一番安いブースが約5畳のスペースです。一番高いブース(一番広いブース)だと出品料が178万ほどです。
更に海外のアジアクラスのアート台北では、もっと費用がかかると聞きました。
バーゼルなど欧米のアートフェアなんかにすると輸送費含めて数百万かかります。

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2018年度 アートフェア東京のブース代(最小サイズ)





作家としてのアートフェア            

さて、どうにか参加も出来たら、
作家がやることは通常の展覧会と変わりません。

作家はアートフェアに出品する為の作品を用意します。
各作品の展示スペースはアートフェアの壁や設置出来るスペースを作家の数で割ったスペースであったり、ギャラリーがそれぞれの作家のスペースを個別に分けたりします。
今回の僕の場合だとホテル式のアートフェアで部屋のスペースと参加人数がそこそこ居るので、一応1人2平方メートルとなりました。(実際は作品の設置場所などは、ある程度早いもの勝ちで決まりました。搬入してセッティングの時間って大体余裕がそこまでないので、スペースも結構適当でした。)

それとアートフェアのDM用(パンフ用の掲載作品)の作品の提出も各ギャラリーであったので、出品作家でもギャラリーが推す目玉作家は早めにアートフェアのDM掲載用の作品画像と情報を電子メールで送ります。

出品する作品の用意が出来たら、ダンボールに箱詰め、梱包してギャラリーに送ります。またはギャラリーが美術品輸送業者を作家の家に手配してくれることもあります。

あとはキャプション情報をギャラリーにメールで送ります。

そしてギャラリーが色んなお客様に案内を送る他に、作家は来てほしい人たちに案内を送ったり、ネットやSNSで宣伝などする人はするでしょう。

そうして、あとはフェアに挑むだけです。

ぼくらのギャラリーは特殊な形態なので、作家の独自性を最も求められます(単純にギャラリーに資金が無いということではなくて)。
なので参加作家はフェア会場が近場だったり、規模が大きいから参加してみたり、単純に経験してみたくて参加してみたりなど、作家が自由に決めました。



アートフェアに参加してみて            

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さて、初めての国内フェア参加してみた感想ですが。
結果的に良かったです。

初めてでしたが、自分のギャラリーでは他のメンバーよりも僕の売上が最高額で飾れました。それも応援してくれたお客さまのお陰です。。ありがとう御座います。


今までデパート中心に展示活動をしてきましたが、アートフェアは客層が幅広い気がします。有名企業の社長さんも私服で来場していましたね。
まあでもそれは単純にデパートよりもお客様が多いからなのかもしれません。
アートフェアはもっと多くの作家が居るし、作家のキャリアも幅広い。なのでギャラリーも複数出展していますしね。
多くの来場者やギャラリー、作家、コレクターとの出会いがあるので作家としてチャンスもアートフェアでは多少広げられるのかなと実感しました。

「もっと早くフェアに出していればなあ。。」

そう思いました。


作家としての歩み方            

僕はまだキャリア6年目で作家としてはまだキャリアが浅いのですけど、芸術活動をスタートした年齢が通常と違いすぎるので年齢が上がるに連れて焦りが増します。

ほとんどアートフェアに出れるのは作品の実力よりもギャラリーや作家の紹介から参加したような流れだと思います。
どの業界のそうだと思いますが、才能よりも世渡り上手が出世します。
参加したければフェアに出ている作家やギャラリーと繋がればいいのです。
早く活躍したい作家はフェアに出展しているギャラリーや作家とコンタクトを取れるように活動していくのが良いと思います。

もし美大に在学中であれば、実際に作家としても活躍している教授や助手、先輩や同僚などと関係を持つことが最重要です。
その中でも最も関係を持ったほうが良いのは助手でしょうね(助手は教授のアシスタント的な立場で、元々の出身美大で務める場合が多い。学生にとっては美大の先輩であり、作家としても先輩である)。
実力十分で作家としても一足先に活躍していて世代的にも学生に近いし親しくなりやすい存在と思います(僕は誰とも繋がりませんでしたが)



成功するために人とつながりを持つ         

ギャラリーオーナーも言っていましたが


誰とも繋がりが無い作家の卵は自らアピールするしかありません。
しかしアピール出来る行動力があっても、肝心のどこにアピールすればいいのか、どうしたら効果的にアピールできるのかもよくわかりません。

それはとても遠回りで時間の無駄です。
孤独に自分のアートを高める時間も必要ですが、活躍の舞台に立ちながら磨いていけばいいのですよね。
僕も二年前にギャラリーにアピールしたわけです。

そのギャラリーも作家のスカウトはしています。
スカウトされた作家は駆け出しの作家も中にはいますし、はじめての展示がいきなりアートフェアという作家も結構いたりします。

ぼくのように誰とも親しい繋がりの無い作家は「一匹狼」ではなく、単に情弱な「一匹羊」です。
単体じゃよほどのことをしない限り出世はできません。



駆け出し作家のデパート展示のデメリット         

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今回実は2年ほどお世話になっていたギャラリーの代表的な作家「Fさん」に初めてお会いしました。
今までメールでやり取りをしてきて、作品も送って展示もしてきた仲で、ついに初めて会ったんです(ぼくがギャラリーに関わっているのも、所属が欲しいということではなくて、この作家さんと繋がっていたいと思ったからです)
そんな人に出会えたものですから、少しだけですが色々と聞きたいことを直接聞けました。
その中でも、僕のデパート展示活動に対して一言うかがえました。

Fさん「そういえば、すーさんってさぁ~。今までデパートで展示してきたんだっけ?」

すー「そうですね。ほとんどデパートです。グループ展ですけど。」

Fさん「んー。。デパート展示ってどうなんだろうね。」

すー「え、どうって、なんかマズいんですか?」

Fさん「デパートで展示してたら、ギャラリーから声かからないでしょ?」

すー「え、そうなんですか?」

Fさん「だってデパートはギャラリーとか画商が主催してるんでしょ?主催してるギャラリーの作家を他のギャラリーがスカウトしないでしょ。(横取りになる。)」

すー「。。。あぁ。。。。そうですよね。。そういうことだったのかあ。。」


こんな単純なことも解らなかったです。
考えてみたら当たり前だし、人の展示中に作家に声かけてスカウトするような常識はずれのギャラリーは今までありませんでした(一つのギャラリー除いて)

今思うと、だから昔「ART@JUNGLE」(今は幻影技芸団とか言うらしい。。)のプロデューサーも「あまりデパートで展示しないほうが良い」と言っていたのかと。。
そのわりにプロデューサー自体が若い作家を集めてデパート展示を立て続けにしているのは、どうなのだろうと思いましたが。。


更にFさんは、ぼくの漠然とした馬鹿みたいな直球の質問にも答えてくれました。

すー「Fさん、どうやったら最短でメジャーな作家になれるんですかね?」
Fさん「。。。飲み会じゃない?」
すー「結局は”人”ってことですか?」
Fさん「だと思うよ。」

やっぱり人の繋がりなんですね。



美大の問題          

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僕はタマ美の油画専攻の出ですが、
美大の中のファイン系(油画、日本画、版画、彫刻、工芸、現代美術など)では、デザイン系などとは違って本来は就職が目的ではないので、作家としてどのように作品を販売して、どのようにアーティストを職業としてやっていくかの”アートマネジメント”を教えてもらわなければならないのですが、その部分は一切教えません。
卒業してから突然放り出されるわけです。僕など何をしたら良いのか、どうすれば作家になれるのか、貸しギャラリーと商業ギャラリーの違いすらわからない状態でした。
と言うか、そもそもギャラリー自体もよく分かりませんでした。描いた絵をどこに出したら良いかも、兎に角なにもわからないのです。
なので美大という機関でも公式には教えてくれない非公式の部分(どうしたら作家を職業にできるのか)は教授や助手、先輩から教えてもらうしか無いんですよね。。
独りは何もかも手探りなので厳しいです。

そしてその”職業としての作家”になるための情報は実際に最低でもデパートかコマーシャル・ギャラリーで展示活動をしてきたような作家(職業としての作家)や、その作家を扱っているギャラリストから聞くべきでしょう。



L.Aのギャラリーと合同展示      

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今回自分が参加しているギャラリーはもう一つのギャラリーとの合同展示でした。
もう一つのギャラリーとは、
そのFさんが取扱になっているアメリカLA(ロス)ではそこそこの知名度である「HIVE」というギャラリーです。HIVEのギャラリーオーナー兼作家のNathanも通訳担当の取扱作家と一緒に来場されました。
L.Aギャラリーのオーナーのアートを観る視点が”国内で良いとされている作品”と全く違ったことが若干興味深かったです。
彼が求めているEXCITINGな作家はどうやら他のギャラリーにはあまり居なかったようです(HIVEが求めているアートがローブローアートなこともあります)

今回日本のフェアに呼んでもらったお礼にHIVEが来年企画展でこちらのギャラリーの作家を呼んでくれることになりました。でも作家それぞれの展示スペースにはかなり違いがあります。彼と仲良くなった作家には展示スペースもかなりの割合で使っていいような感じになりました(アメリカの方が人情じゃないですが、そういう感覚があるそうです)
やっぱり飲みニケーションが案外運命を決めるのかもしれません(僕は飲み会もほぼ参加していませんでした)


僕のリアリズム技法            

また、オーナーは僕の作品は気に入ってくれたようですが、企画の展示スペースは作品二枚ということになりました(小さいのを1枚の作家もいます。)
そして、ぼくのリアリズムの技術を疑っていました。

FさんからL.Aギャラリーオーナーが僕の作品について語っていたことを教えてくれました。

オーナー「すーの絵は、本当に描いているのか?僕のギャラリーの作家にもリアリズム・アーティストは何人かいるけど、こんな薄塗りのリアリズムはあり得ない。もっと絵の具で盛り上がるような厚みがあるはずだよ。」

どうやらコラージュか何かを利用しながら描いているとか、全部絵の具で描いているものとは思っていなかったらしいです。
単純に、ぼくのような描き方のリアリズムの技術はL.Aでも見たことがなかったようです。それとオーナー自身も作家ですが描き方がわからなかったことも。
未知のものを作り出すことは良いことですが、技術が疑われては損だなと思いました。
今後展示をする際は主催ギャラリーには正確に技術を伝えるべきと思いました。
でないと、ギャラリーが来場者の方々に作品の魅力を十分にお伝え出来ませんし。



最後に            

フェアが終わってみて、ぼくが展示レベルや受賞実績のわりに海外活動やアートフェア東京未経験な原因がなんとなくわかりました。
今回のアートフェアでもデパート関係の人からは僕を知っている方もいましたが、”基本の展示は公募やコンペ以外はデパート展示のみで、それ以外で*貸しギャラリーでの個展も未経験”という状態だと、画廊界からの知名度は無かったと思われます(*貸しでの展示は非常に重要で、下手なコマーシャル・ギャラリーで扱われるよりも貸しでチャンスを作る方がチャンスは広がると思います)。
ギャラリーが作家を育てるので、そういうギャラリーに所属していないということはハイレベルなステージに行けるチャンスを逃していることになります。

もっと色々新たな経験をしていきたいです。


それと僕が参加していたギャラリーは他のギャラリーとは全く別物だったと思います。
というのも国内で人気の作家はアートのコンセプトという中身よりも絵柄が主体なのに対して海外はコンセプトや作家自体も作品を購入する上での判断基準になります

国内では、例えば国内の大半のアートのコンペや公募も内容を説明する要素がなく、作品の絵柄だけで価値を判断されます。
それが日本の大半の芸術の価値の決め方なんですよね。それって全く西欧から生まれたARTじゃないのですよね。絵画ではあるけどARTではない。芸術ではあるけどARTではない。
海外で評価された実力のある作家がここではイマイチ。でも逆輸入という肩書が出来たり、話題の作家になると違う目で観る。ブランド志向で作品や作家を観る。注目されるのは上っ面ばかりな気がします。それでも良いのかもしれませんが。。

対して欧米のアートの見方は、「なぜこの作家はこういうものを描いているのだろう」、「この作品を作った作家のバックグランドはどうなんだ」と作品のもっと奥を深く見ます。

おそらくそこがアートでは最も大事なことで、
なぜ作家が作品よりも重要なのか。
それは、「作品を生み出す作家に強力なオリジナリティがあれば、そこから生み出される作品は自然とオリジナリティのあるものになる」からと僕は思っています。
自分の中に他の人にはない唯一といえるような強烈なオリジナルのもの(特別なーー体験、習慣、趣味、人格、生い立ち、障害など)がある人は世の中ほとんど居ません。なので作家といっても実際は人が驚くような変わった人生を過ごしてきたわけでもない大抵普通の人達なんですね。
そんなもので、普通の作家が作り出すものが普通であってはいけないので、皆オリジナリティのある作品を色々考えます。その中で絵柄もコンセプトも面白い作品が出来るとそれなりに評価されます。しかしその人自身は本当のところは強烈なものは特別持っているわけではない普通の人なので、たまたま面白い作品がその時、その時期に作り出せただけなのかもしれない。
そこで作家自体が作品よりも重要な判断基準になるんです。
作家に超強烈なオリジナリティがあれば、その作品は”嘘”ではないんです。
本物の変人から生み出された本物の個性なんです。
しかし持っているだけでは良い作品にならず、面白いと思ってもらえるように説明する。つまり作品の説明書が重要なんですね。それがコンセプトというものと思います。
商品の説明書なしで商品だけを観て評価する。その商品がどういう意味を持っていて、どういう理由で作られたのか十分理解せずに買う。アートの楽しみ方が半減していて勿体無いと思います。


偉そうに自分が言えないと言いながらズケズケ調子に乗って語ってしまいましたが、小さな体験ですが地方のアートフェアを経験してみて、アートに対してもっと付き合っていきたいと思えました。




おまけ

アートフェア 「ART NAGOYA」の日記が続きとして下部に書いてあります。

日記なので大したことは書いてありません。

気になった方はご閲覧くださいませ。

この日記は実は2月に書いていたのですが、実際にフェアが始まると色々と余裕が無くて、途中まで書いたっきりでした。残りは思い出しながら続きを書きました。